白斑の原因
白斑はメラニン色素をつくる細胞であるメラノサイトの消失あるいはメラニン色素生成機能の停止により生じます。
その発症原因はいまだ不明ですが、大きく2つの説が一般にいわれています。
(1)自己免疫説
過度のストレスなどによる自己免疫疾患の一種といわれています。分かりやすくいえば、自分の体の中の、本来なら細菌などから体を守る白血球などが自分の体 の細胞を攻撃してしまうようなケースです。つまり、白斑の場合にはメラニン色素を形成する細胞を自分で壊してしまったり、機能が低下したりして、皮膚の色 がない状態、白くなってしまうのです。
(2)神経説
自律神経の異常によるという説があります。最近の医学で、皮フの神経終末とメラニン色素をつくるメラノサイトがつながっていることが明らかにされました。 さらに、培養色素細胞において神経蛋白であるカルチトニン遺伝子関連蛋白などが培養細胞を刺激して、神経系が正常メラノサイトや分節型白斑のメラノサイト に影響を及ぼしていることが明らかになってきました。
例
神経分節型白斑では、神経蛋白の分泌低下が起こっているか、あるいは神経蛋白に対するメラノサイトの感受性の低下が原因と考えられます。


ナローバンドuvbで治療治療効果の高いきわめて狭い波長の紫外線311~312nm(ナノメートル)で構成された、今までになく効果の高い紫外 線照射装置を使用した治療法です。欧米では尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎などに一般的に用いられおり、いままで治療が難しかった尋常性乾癬や尋常性白斑な どの皮膚病にも有効です。治療にはごく狭い周波数(311~312nm)の紫外線だけを照射するため、ソラレンなどの紫外線吸収剤の内服・概要が必要な く、遮光などの生活上の制限の必要もありません。また、副作用も少なく治療も短時間で終了します。 これまでの治療に比べると乾癬・白斑などでの有効性が多く報告されています。
紫外線治療法
図の説明:メラニン細胞がキズつくと、その傷ついたメラニン細胞を異物と見なし、白斑の人の免疫細胞が異物を殺しに来て、傷ついたメラニン細胞まで殺し、 さらに周辺の正常なメラニン細胞まで、殺してしまうのです。だから白斑部にはメラニン細胞がいないと考えられています。それではどうして色がつく(色素再 生が起る)のでしょうか?その白斑部、または周囲の正常皮膚の毛包(外毛根しょう)の隆起部(バルジ)にメラニン細胞の前段階の細胞、つまりメラニン芽細 胞が存在し、ここからメラニン細胞が作られることが分かってきました。UVBを照射するとメラニン芽細胞が働き出し、メラニン細胞となり増殖し、白斑部基 底層まで遊走します。またUVBを照射すると、表皮角化細胞がサイトカインを出して、それがバルジまで達して、同様にメラニン細胞増殖・遊走を起こしま す。さらにUVB照射すると、今までメラニン細胞を壊していた免疫細胞(CD8陽性細胞)に働いて、メラニン細胞を壊すのを妨げます(免疫抑制作用)。こ れらの3つの作用は同時に起るのです。だからある程度、色素再生(白斑部に色が出る)が起ると同時に進行が止まる(メラニン細胞を壊すのを止める)のも理 にかなっていると言えます。


治療例
顔の白斑
ナローバンドuvb治療01

頭部の白斑
ナローバンドucb治療例02

頭部の白斑
ナローバンドuvb治療例03

紫外線療法の副作用
ナローバンドUVBの副作用としては、皮膚の赤み、色素沈着(日焼け)、ほてり感、ヤケドなどがありますが、他の紫外線療法より起こしにくいと考えられて います。また1MED(最小紅斑量)以上を照射することで高度の紅斑を生じることがあります。光発癌のリスクに関してはまだ不明な点もありますが動物実 験、臨床データよりUVBと同等前後のリスクもしくはそれより少ないと考えられています。